変身

『変身』

東野圭吾の同名小説を、玉木宏や蒼井優といった旬の若手俳優らを起用して映画化した切ないラブストーリー『変身』。本作が監督デビュー作となる佐野智樹が、脳移植をきっかけに、自分の中の何かが変化していく青年の葛藤をリアルに描き出しました。主演の玉木宏は、徐々に別の人格が生まれてくるという微妙な役柄を、確かな演技力で表現しています。

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『変身』解説

これまでにも数多くの作品が映像化されている人気小説家、東野圭吾が1991年に発表した同名小説を、玉木宏、蒼井優の主演で映画化されました。小説発表から15年が経とうとしていますが、おそらく当時、現実味の薄かっただろう題材も、今では明日の自分に起こるかもしれない出来事として目に映ります。主人公は強盗事件に巻き込まれ、頭に銃弾を受けた青年・純一。彼は世界初の成人脳移植に成功し、意識を取り戻す。順調に快復していく純一だが、絵を描くことが好きだった穏やかな青年の人格は、徐々に変化していた。あれほどまでに愛していた恋人を、疎ましいとさえ感じるようになっていく……。恵が恋人を呼ぶ“ジュン”という響きに、映画版ではかなりの重さを与えています。この点はラブストーリー色を強めたことへのプラス作用として働くだけでなく、純一という主人公の自己の危うさを強調します。失われていく純一の人格。しかし恵が“ジュン”と呼び続ける限り、彼の脳がジュンである領域が消えることはないだろうと思わせるとても映画的な興味深い題材です。

『変身』エピソード

東野圭吾いわくバスに揺られているときに「唯一“ひらめき”があった作品」だそうです。2006年末の段階で公称発行部数は70万部を超えています。また、『パラレルワールド・ラブストーリー』の解説で、新井素子はこの作品と『分身』『パラレルワールド・ラブストーリー』を合わせて『東野“私”三部作』と命名しています。

『変身』ストーリー

ある病院の特別室で、長い昏睡から青年が目覚める。工場で働く成瀬純一(玉木宏)は、毎週金曜日に画材店に通っていた。その店で働く恵(蒼井優)は、笑顔がとびきり素敵な女の子だ。ある日、純一は勇気を出して、湖のある森に恵を誘う。それまで風景画しか描かなかった純一は、その日から恵の肖像画を描きはじめ、2人は急速に親しくなっていく。恵との幸せな日々をベッドの中で思い出していく純一は、ある夜、人のいなくなった解析室の中に入り、低温保存庫の中に人間の脳と思われる標本を2つ発見する。そのひとつには「JN」と記されていた。純一のイニシャルだ。彼は、それまで詳しい説明を言いしぶってきた担当医師の堂元(北村和夫)に手術の詳細を問いただす。彼が施されたのは、世界初の脳移植手術であり、損傷を受けた部分に他人の脳片を移植したのだと聞かされる。あの日、純一は恵と一緒に住む部屋を探すために不動産屋にいたのだった。そこに1人の青年が入ってきて、拳銃を振りかざし、金を要求した。その時、奥のスペースで遊んでいた少女が何も知らずに出てきて、その音に驚いた犯人は少女に拳銃を向けた。その時、とっさに少女をかばった純一の頭部に銃弾が撃ち込まれたのだった。退院が近くなった時、やっと面会を許された恵が訪ねてきてくれる。だが、純一は、以前とは食べ物の好みが一変し、描く絵のスタイルも変化する。そればかりか、勤め先の工場でも、以前は人と争うことなど皆無だったのに、同僚たちの仕事ぶりを痛烈に批判し、アパートの隣に住む若者に殺意さえ抱いてしまう。そして愛する恵の天真爛漫な言動にさえ、いらだちを抑えきれなくなるのだった。そんな純一の耳に、どこか遠い記憶の彼方から、ピアノの音が聞こえてくる。それは純一の記憶ではなかった。苦悩を深める純一が偶然出会った女性は、あの強盗犯、京極瞬介(松田悟志)の双子の妹(釈由美子)だった。兄妹の育った家で、強盗事件の発端になった彼らの生い立ちと恨みを彼女は純一に語ってくれる。彼女が語る瞬介は優しい青年だったが、父への恨みから世の中全体を、特に金銭的に恵まれた者たちを激しく憎むようになっていたのだ。そして彼女は、純一の前に赤い小さなおもちゃのピアノを差し出す。幼い日、いつも瞬介はこのピアノを弾いていたという。こうして純一はすべてを知るが、だからといって変わっていく自分を止めることは、彼の力ではできない。彼の本当の葛藤は、ここから始まるのだった・・・。

『変身』出演

  • 成瀬純一 : 玉木宏
  • 葉村恵 : 蒼井優
  • 橘直子 : 佐田真由美
  • 若生健一 : 山下徹大
  • 京極瞬介 : 松田悟志
  • 京極亮子 : 釈由美子(特別出演)
  • 堂元英隆 : 北村和夫
  • 嵯峨道彦 : 春田純一
  • 番場哲夫 : 石田太郎

『変身』スタッフ

  • 監督 : 佐野智樹
  • 原作 : 東野圭吾
  • 主題歌 : 拝郷メイコ
  • 脚本 : よしだあつこ
  • 撮影 : 浜田毅
  • 照明 : 高屋齋
  • 録音 : 北村峰晴
  • 美術 : 丸尾智行
  • 編集 :大永昌弘
  • 音楽プロデューサー : 長岡和弘
  • 音楽 : 崎谷健次郎
  • 製作協力 : スーパービジョン
  • 製作 : 日本出版販売、アミューズソフトエンタテインメント、ミコット・エンド・バサラ
  • 配給 : 日本出版販売

佐野智樹

『変身』監督の佐野智樹についてまとめてみました。SF・特撮作品の助監督を多く担当していて、山崎貴、三谷幸喜の監督作品などに助監督として参加。2005年に劇場用映画『変身』で映画作品監督デビュー。2006年から2007年に放送された『ウルトラマンメビウス』で初のメイン監督を担当しました。

映画作品(監督)

  • 変身(2005年)
  • 神☆ヴォイス~THE VOICE MAKES A MIRACLE~(2011年)
  • 琉神マブヤーTHE MOVIE 七つのマブイ(2011年)

映画作品(助監督)

  • 人間の翼 最後のキャッチボール(1996年) 
  • 落下する夕方(1998年)
  • ジュブナイル(2000年)
  • みんなのいえ(2001年)
  • ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET ムサシ(13才)少年編(2002年)
  • ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET(2002年)

テレビ作品

  • ウルトラマンメビウス(2006年 - 2007年)
  • 満福少女ドラゴネット(2010年)

オリジナルビデオ作品

ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス(2008年)

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